卯年を迎え
院長 狩
野 稔 久
ここ数年、日本の公的医療機関(注)の中心を担う公立病院の7割以上が赤字とされ、島根県内の公立病院も最近では11のうち10病院が赤字に陥っている。
公的病院がつぶれると、地域の医療提供体制は崩壊し、地域住民は安心して生活できない・・・らしく、自治体から病院への繰入金が増えてきている。
しかし、手厚い支援にもかかわらず、本来は公がやらなければならない4疾患5事業、特に救急医療、あるいは災害時における医療、さらに僻地医療、周産期医療、小児医療等々に関して、実施すべき公的な病院がなかなか回りきれないという実態が生じてきている。
確かに社会的共通資本としての医療は、生活していく上に欠かせないものである。だからと言って公的機関が、その中心となって役割を果たす必要があるのであろうか。
おりしも特例民法法人である当医師会病院は、公益法人制度改革を受け平成25年11月末までに一般社団法人か公益社団法人のいずれかに移行する選択を迫られている。
どちらの組織になるかは平成22年11月、医師会内に検討委員会が設けられ、新年からの申請準備スケジュールを作成、検討に入ったところであるが、いずれにせよ公的病院ではない。
当院は開院以来、急性期から亜急性期、回復期、慢性期、維持期医療まで幅広く対応し、会員とともに地域の保健、医療、福祉に関わり、病院・施設から在宅まで、シームレスな総合的サービスを提供するという公益性と地域社会への貢献という社会的責任を使命として取り組んできた。
公的病院の経営云々について民間医療機関が口をはさむ筋合いのものではないが、当院は、会員の熱意と職員の努力とで近年経営基盤も安定し、事業も発展的に継続してきている。
いずれに移行するにしても、「民」による公益の増進を目指すことがこの制度改革の目的であり、これまで通りの公益的役割を果たす姿勢には、いささかの揺るぎもない。
今年は「卯年」である。
うさぎのように目を赤くまでする必要はないが、耳を立て、正確な情報を素早くキャッチし、俊敏に行動し、さらに飛躍する年になることを願うものである。
(注);公的医療機関は、医療法31条において@都道府県、市町村の開設する病院又は診療所A厚生労働大臣が定める者の開設する病院又は診療所と位置づけられており、@が公立病院、Aに日本赤十字社や恩寵財団済生会、厚生連等の病院が含まれる
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