
| 場所 | ![]() | |||
| 松江市内のヤキトリ屋。二人は松江市内ホテルでの講演会帰り | ||||
| 登場人物 | ||||
| 私 | 52歳 | 小児科医 | ||
| M医師 | 52歳 | 内科医 | ||
| 二人は、大学の同窓で、学生時代同じサークル仲間であった。 ほぼ同時期7年前島根県の西と東で開業す。数年ぶりの出会い。 | ||||
私 「オイ。最近ゴルフやってるかい。」 M 「イイヤ。とてもとても、忙しくて。」「しかしあんたも元気だねえ。益田から車で4時間?」 私 「一寸、出雲でラッシュにあってね。そうか。ワシは月1回はやるようにしてるけどな。コレステロールが高めだし、卵は食わん事にしてる。」
「オレもトシだ。この頃はめっきり涙腺弛緩症だ。朝のNHK見ては毎日涙が出るよ。」M 「ワッハッハ・・」 貴公子とあだ名されたM君の顔が崩れる。 私 「3年前の暮れ、インフルエンザにかかって、えらいめにあった。たいがい小児科医はウィルスにきたえられて強いんだけどな。よっぽどタイプの変わったウィルスが出来たんやな」 M 「うがい、うがい。ボクなんか、患者一人一人のたんびにうがいしてる。そうすりゃ、一寸、怪しいなと思っても一晩で治る」 私 「やはり、トシのせいか、免疫力が弱くなって、かかってしまうな。それでよ、おととしインフルエンザワクチンを試しにやったら大丈夫だった。あれに限るよ。おまえやる気ないか。是非すすめるよ。」 M 「いいや。かかったらかかったで自然にまかせるよ。ワクチンはやはり不自然だよ。」 私 「でもなぁ。やはり仕事は休めんし、患者の方だって子供が病気になると、母親もパート休まにゃならんし、下手すりゃクビだろう。」 M 「・・・医者はやはり患者が苦しんでどうにかしてくれと乞われて、手を出すべきだろうよ。」 私 「それは、そうだが。」 M 「やはり、病気でもないのに、ましてや子供に注射をするのはお断りだよ。」 私 「オレだって、ごめんな、ごめんなと、詫びながらやってるよ。」 M 「それに、オレも以前勤務医の時、職員なんかにインフルエンザワクチンやったけど、やはりかかったと言われたもんでな。」 私 「そりゃマニュアルどおり、シーズン前に2回、4週間あいだをおいてやらなかったからだよ。運用をちゃんとやりゃ効くよ。」「それに、料金も安くすりゃ、やりたい人は大勢いると思うよ。」 M 「やはり何だって完全なものはないしな。オレの知ってる子はゼラチンアレルギーでいっさいワクチンはダメだと言っているけど、知らずに他の医師がやったら大変だよ。」 私 「ありうる話だ。しかし、まぁ今年のワクチンにはゼラチンなしのも出来たしな。」 M 「まぁ。オレは不自然な事はやりたくないしな。それに、こちらじゃ半ば行政指導でワクチンをやらなきゃ老人がデイケアを受けれないとか、医療関係者が仕事を続けられない雰囲気になっている。こんな事に行政が口を出すのは変だよ。ましてや、全く受け身の子供に対しては、オレは出来ないよ。」 私 「受け手個人の問題だからな。」「老人にはワクチンを勧奨する事にコンセンサスが得られたと思うが、子供に対してはまだ、コンセンサスが得られていないけど、オレは2年間やってみて、その効果を考えるとやはり、勧奨するよ。今年はかなりやるつもりよ、子供も親も。オレも楽するしな。もうあのラッシュはごめんだよ。」 M 「でも、ウィルスの型が合わなきゃダメだろう。」 私 「いや、最近はかなりリサーチして、その型合わせの精度も昔とはだいぶ違うんじゃないのかなメーカーを信じるしかないけどな。まあ、他人にやるのがゴメンなら自分でいっぺん試してみろよ。」 M 「イヤ、イヤ。 ゴメンだよ。」 相変わらず一徹の彼だった。そこが彼の良い所で、病院もはやっているのか借金してデイケアの老人のため付属の公園を造るそうだ。健康を祈る。
文責
能美小児科医院 能美 強